日本におけるIT Dashboardの運用開始について 

7月4日に日本政府においてもIT Dashboardが運用開始されました。

http://cio.go.jp/news/619

IT Dashboardは、「世界最先端IT 国家創造宣言」(平成25年6月14日閣議決定)の中で、「政府におけるIT ガバナンスの強化」として、各府省庁のIT 投資の状況等をインターネット経由で一覧性をもって国民が確認できる仕組みとして整備が求められてきたものです。
また、IT国家創造宣言の上位に位置する「日本再興戦略」においても、同様に紹介されていま
す。

世界最先端IT 国家創造宣言について

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20130614/siryou1.pdf

日本再興戦略

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/saikou_jpn.pdf

このグラフを見ることで、情報システムに係る政府支出金額を見て取ることができます。
実際に、規模と運用経費の比較や保守経費との関係など、とても興味深い傾向を見ることができますし、ここに受託事業者の分布などを入れると、さらに見えてくるものがあるのでは?
などと納税者としては気になって仕方がありません。
このようなグラフを国民に公表することで、運用経費削減圧力の享受という方向へ舵を切った政府の勇気は評価できるところだと思います。

ところで、この運用経費ですが、実際にはどのようなものが含まれているのでしょうか?
個人が持っているパソコンでは、ごみ箱のデータをきれいにしたり、バックアップを取ったりします。
それ以上に、情報システムも面倒を見てあげなくてはいけません。
具体的には、
○監視業務:システムの稼働監視、セキュリティ監視、性能監視など
○運用業務:バックアップ、簡易な障害復旧、ヘルプデスクなど
○保守業務:機器障害対応、セキュリティパッチ適用など
が「例」として思い浮かぶところです。

ここで、例を「」付きで記載させていただきました。
その理由は、このような区分や業務内容を詳細化せずに、運用・保守として一括で発注している例をよく見るからです。また、契約はしているものの、実際には何をしているか把握せず放置しており、運用報告書も受領して綴じているだけ、という例があります。

そのため、契約しているものの、事業者側は実際には体制をとっていない、自動化を進めることで受注額に見合うほどの工数が発生していない、などの現状があります。
さらに、情報システムを使う上での業務量を把握していないために、ハードディスクの容量が余っている、メモリ容量が過大になっている、通信容量に比して回線容量がジャブジャブになっているという例もあります。

本来、業務をIT化する上では、単なるワープロシステムにするのではなく、情報システムを用いることの特性を理解したうえで業務を効率化できるような取り組みを行うと、費用対効果を高めることができます。
さらに、情報システムの運用開始後に、業務量やハードディスクの使用量などを把握していくことで、情報システムがどれほど業務の効率化に貢献できているかも把握することができます。

家計の支出を抑える際には小遣いを削るだけではなく、支出の内容を見直していると思います。
政府においても、従来は運用経費の削減ばかりを目標としてきたところですが、これからは、自分たちの業務の量とそれに見合う支出ができているかについて把握し、さらに支出内容について妥当なのか、あらためて精査していくことで、歳出の見直しができると思います。
それは、継続的に払い続けている運用経費についても、同様だと思います。

以上

※最後までお読みいただいた方に裏技です。
ITダッシュボードの画面上では統計処理された情報が表示されますが、CSVでダウンロードすると情報システムごとのデータを取得することができます。
→7月4日時点での動作ですので、今後機能改修により取得できなくなる可能性がありますので、
ご了承ください。

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